Yoshitomo Nara

奈良美智は1959 年青森県弘前市生まれ。1987年に愛知県立芸術大学大学院修士課程終了後、88年にドイツに渡りデュッセルドルフ芸術アカデミーに入学。奈良の作品は、「生産・流通システムや、職業という考え方、富の蓄積といった点で今とは異なる社会を求める態度」に裏付けされながら、「多くへの呼びかけと一人への呼びかけという二つの性質」(「地と図と戦争:奈良美智の絵画」、蔵屋美香、『奈良美智-SELF-SELECTED WORKS-PAINTINGS』 参照)を持ち、美術史に留まらない重要な視野を切り開いてきました。その活動は、「今ここ」から絶えず離れながらも、現在を照らし出すという困難を積極的に引き受けながら、多くの鑑賞者の心に響くものとして展開、比類ない評価を得ています。