Yutaka Kikutake Galleryでは7月27日(土)から9月7日(土)まで、向山喜章による個展「11・33(いちいち・さんさん)」を開催します。
向山は色そのものを素材と捉え、近年ではキャンバスに染み込ませるようにして様々な色を幾層にも重ねて完成させるミニマルな絵画を発表してきました。その制作の背景には、幼少期を日本有数の密教の伽藍が立ち並ぶ高野山で過ごし、周囲の静謐な環境やそこに存在する密教美術に触れてきた原体験があり、本展のタイトルでもある「11・33」も十一面観音菩薩と西国三十三番観音霊場に起因していますが、向山にとって色彩とは、観音菩薩が発する滲むような光と、それらを包み込む月明かりの移ろう光と同義でもあり、それは以下のステートメントへと通じていきます。
さんじゅうさんに漂う月の和は、じゅういち面の彩りに満ち欠け、
時(とき)を廻って、空(くう)に巡って、きらりふらりと舞い煌めいて
あなたへ
向山喜章
向山は2018年の夏から半年間に渡ってMGM Resorts Art & CultureのArtist in Residenceプログラムに参加し、ラスベガスのBellagio Hotel 内に設けられたスタジオにて公開滞在制作を行いました。多くのレストランやホテルがおよそ7kmに渡る一直線の道に立ち並ぶラスベガス・ストリップを彩るネオン、喧騒を離れた地に広がる雄大な自然を照らし出す太陽の光、そして、それらに静かに寄り添うように夜空を彩る月明かり―大きく異なりながら、いずれも圧倒的な存在感で輝く光の時空から着想を得た向山は、ラスベガスで24点組の大作「Vendarta 100- Six Elements and the Seasons」を完成させ、その作品はMandalay Bay Convention Centerに恒久設置されています。
本展は、ラスベガスでの滞在制作の延長線上において展開される新作ペインティングとドローイングによって構成されます。光のみならず、舞台や音楽のライブステージなど、ラスベガスで出会った様々な要素が新作たちの背景に存在しています。是非ご高覧ください。