Yutaka Kikutake Galleryでは12月2日から田幡浩一の個展「マルメロと表裏」を開催いたします。本展は、新作のペインティング作品3点に加え、フォトコラージュ作品9点から構成されます。
2016年以降、田幡は油彩とドローイングによる新たな試みとして「one way or another」シリーズを展開してきました。「one way or another」では、絵画が持ちうるズレ―支持体のズレ、モチーフのズレ、視線のズレ、意識のズレなど―を取り込みながら、植物やフルーツ、ティーカップやケーキといった作家の手元に収まるモチーフが描き出されています。静謐ながら絵画の歴史をエレガントに示唆するような構造をとる作品たちは、発表以降その評価を高めています。
また、上記と同様のモチーフを扱いながら、それらを作家自身が撮影した写真をもとに制作されるコラージュ作品においては、空白の生成やデフォルメによる作用が軽妙に展開されながら、二次元と三次元を行き来するような構造を作り出しており、「one way or another」を含めた田幡浩一の作品群とともにこれからの平面作品、ひいては絵画の可能性について検討する重要な要素となっているといえるでしょう。
12月2日(土)にはアーティストを交えてのオープニング・レセプションを行います。是非お越しください。
田幡浩一は、1979年栃木県生まれ。東京藝術大学美術学部先端芸術表現科を2004年に卒業。2006年に同大大学院美術研究科油画専攻を修了。2011年より公益財団法人吉野石膏美術振興財団在外研修助成、公益財団法人ポーラ美術振興財団在外研修助成などを得て、現在はベルリンを拠点に活動しています。その作品は、東京都現代美術館、原美術館、トヨタアートコレクションなどに収蔵されています。
■ 作品集「one way or another」刊行のお知らせ
2017年12月1日発売、Yutaka Kikutake Gallery刊、ソフト・カバー、56頁
掲載作品:12点、テキスト執筆:兼平彦太郎、中尾拓哉
販売価格:3,000円 (限定300部)