Yutaka Kikutake Galleryでは、6月8日(土)から7月13日(土)まで、アーティストデュオNerholによる個展「釘がないので」を開催いたします。
2018年の夏、Nerholは大分県別府市で開催されたアーティスト・イン・レジデンスプログラム「KASHIMA」に参加しました。滞在期間中にNerholは、明治初期以降、世界大戦を経て様々な人やモノが別府の地を往来するなかで、国内屈指の温泉保養地として発展を遂げ、現在に至る過程をリサーチしました。貴重な資源である温泉や自然環境のなかで形作られた文化の諸相に触れ、そして別府に住む人々のオーラルヒストリーを集め、レジデンス場所でもあった葵荘をはじめ、別府公園や商店の壁を用いて全13作品の作品を発表いたしました。
本展は、上記展覧会の東京巡回展という要素も持ちつつ、別府会場では未発表であった作品、また、別府でのリサーチの延長線上に制作された新作も混じえて構成されます。
2016年に開催した「Strange Attractor」展(会場:Yutaka Kikutake Gallery)以降、Nerholは、自然環境や動植物、人間が作り出した人工物に潜在する生成過程の多様性に注目をし、所与の定義を疑いながら、作品を通してそれらを再解釈するような試みを続けています。常に変化を続ける私たちの世界において、Nerholの作品は個々のモチーフに寄り添いながら、より広義を以って世界のなかで生きていくヒントを与えてくれるようです。