Yutaka Kikutake Galleryは、10月17日(土)から11月21日(土)まで、平川紀道の個展「given」を開催いたします。Yutaka Kikutake Galleryでの初めての個展では、平川自身が設定したアルゴリズムに基づいて、製図用の大型ペンプロッターによって、精確に線の集積としてフィルムに定着させた作品5点と、ハッブル超深宇宙探査(Hubble Ultra-Deep Field )から着想を得て制作されたシルクスクリーン1点の新作を展示いたします。
平川は、近年、自身の書いた1つのルール(アルゴリズム)に従ってコンピュータ・プログラムが創り出す不可逆な現象をモチーフとしてきました。その現象の一つ一つは、その特性を決める幾つかの有限の数値(パラメータ)によって定義することができますが、そのバリエーションは1人の人間が一生で目にすることのできる視覚情報と比べるとき、無限と言っても過言ではありません。
これは、人間のDNAの情報量が有限なのにも関わらず、この世界には同一の人間が存在しないことと似ています。平川は、彼が書いたプログラムが、ある数値をもとに計算をした結果として現れた、その1つの演算結果に、名前をつけることにしました。
本展では、それらを二次元的な画像としてではなく、もっと微細な表情、ストロークの集積として残したシリーズに加え、赤外線で捉えられた銀河(宇宙の膨張によって可視光線が引き延ばされた結果)を、紫外線を使ったシルクスクリーンの技法で実体化した作品も同時に展示いたします。
平川紀道は1982年生まれ。コンピューター・プログラミングを用いた映像音響インスタレーションを中心とした作品群を国内外の美術展、メディア・アート・フェスティバルで発表。アルス・エレクトロニカ2008準グランプリ他受賞多数。池田亮司、大友良英、三上晴子らの作品制作への参加、Typingmonkeysとしてのライブ・パフォーマンスなど、活動は多岐にわたる。