三瓶玲奈

水の重さ、滲む光

Past

2018年12月15日(土)-2019年1月26日(土) 
12:00 - 18:00

オープニング・レセプション:12月15日(土)18:00 - 20:00
※冬季休廊期間 2018年12月27日-2019年1月4日

Yutaka Kikutake Galleryでは、12月15日(土)から1月26日(土)まで、三瓶玲奈の個展「水の重さ、滲む光」を開催いたします。2016年の冬以来2回目の個展となる本展では、新作ペインティング合計7点を発表する予定です。

 

新作で描かれるのは、花屋、海、陸橋、ダム、木漏れ日など、日常に溢れ、その姿を想起することが容易なものたちです。三瓶は、そうしたものたちの自身にとっての原風景を2018年の夏頃より再び訪ね、スケッチを重ね、特にその地で感じた光と湿度の記憶に着目をしながら、ペインティングを制作しました。

これまでも三瓶は、私たちの世界に存在するものたちが、光に照射されることで知覚される瞬間をキャンバス上に留めるような作品を制作してきました。身体を通じて触れることができる日用品や家具にはじまり、光という不確かな存在を通してこそ知覚できる水面の輝き等を、光とそれによって生み出される色彩を構造的に把握することで、事物の多面的な在り様をキャンバス上に表現してきました。今回発表される新作では湿度という要素も加わり、描かれるモチーフが持つみずみずしさという特徴と相まって、重層的な描かれ方が展開されています。数値化することも可能ながら、その場、その人によって多様に感受されうる身体的で感覚的な要素が、「水の重さ」や「滲む光」というキーワードを通してキャンバス上で立ち現れてくるようです。

 

 

三瓶玲奈は、1992年愛知県生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科修士課程油画専攻修了。三瓶の絵画は、抽象と具象という両極を行き来するようにして描かれている。作家の身近に存在しているもの、作家が経験したこと、作家の周囲で立ち上がる現象―それらが、一見簡潔に見えながらも深く練り上げられた絵筆のストロークと絵の具のバランスによって描き出され、あるときは抽象的な、あるときは具象的な作品へと結実します。絵画が成り立つ条件への深慮を感じさせつつ、独特の作品世界へと惹きこむ三瓶の作品からは、これからの現代絵画の試みを押し広げていくことが期待されています。

"Flower stall", 2018
100 x 65.2 cm
Oil on canvas