本山ゆかり

その出入り口(穴や崖)

Past
Yutaka Kikutake Gallery
2019年9月14日(土)- 10月19日(土)
11:00 - 19:00

オープニング・レセプション:9月14日(土)18:00 - 20:00

Yutaka Kikutake Galleryでは9月14日(土)から10月19日(土)まで、本山ゆかりによる個展「その出入り口(穴や崖)」を開催します。Yutaka Kikutake Galleryでは初めての個展となる本展では、石、マッチ、風になびく草などをモチーフにした新作を中心に展示されます。

 

本山は2015年より絵画を構成する要素を分解・再構築するようにして制作される「画用紙」シリーズに取り組んできました。このシリーズでは、デジタルペイントツールで描かれた多量のドローイングからモチーフが選択され、透明なアクリル板に白と黒のアクリル絵具で描かれます。

デジタルドローイングの過程では、線を「描く」という行為に向き合うことで、モチーフに対する個人的な思い入れや、それ自体がはらんでしまう物語性、過剰な装飾性はそぎ落とされ、解体を経て記号化されます。選ばれたドローイングは反転された状態でアクリル板に描かれ、鑑賞者には描かれた面の裏側を向けることになるため、絵画が本来備えている独特の質感は均一なアクリルの表面に取って代わられることになります。いかにして絵画を生成するのかという、絵画の歴史への多層的な試みがそこにはあるのです。

そのような試みを続けていく一方で、描かれているものの記号的要素を鑑賞者に伝えることの困難さが立ち表れることもあります。作家と鑑賞者の間に存在する認識の距離感を“突如として現われる「穴」であり、突き落とされそうに感じる「崖」のようなもの”と本山は表現しますが、そこに作品タイトルとして言葉を与えることで、「穴」や「崖」が「道」として見えてくるとも言います。絵画を解体・構築するに当たって表れる様々な局面に向き合い、新たな絵画の姿を提示することを試み続ける本山ゆかりの最新作たちです。是非ご覧ください。

 

本山ゆかりは1992年愛知県生まれ、2017年京都市立芸術大学大学院油画専攻修了。現在は京都を拠点に活動。近年の主な展覧会に「東京・占い・ジャーニー」(VOLVO青山/2018)、「paint( )ings 」(Yutaka Kikutake Gallery/2018)、「この現実のむこうに Here and beyond」(国際芸術センター青森/2017)、「裏声で歌へ」(小山市立車屋美術館/2017)がある。

「画用紙(大きい石)」のドローイング 2019

「画用紙(二つの山と河)」2018, アクリル板、アクリル絵具, 100x100cm